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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)427号 判決

被告人

丹羽安治郞

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人平山文治の控訴趣意について

て按ずるに原判決によれば原審は一、被告人に対する檢事及び司法警察員作成の供述調書一、日本通運株式会社岐阜支店車輛課自動車係大塚行郞提出の上申書一、自動車運轉手佐竹寬提出の上申書及び一、加藤文治事朱箕鐸に対する司法警察員作成の供述書を綜合して訴因即ち被告人が昭和二十四年八月二十四日頃愛知縣丹羽郡犬山町大字犬山字東古券四百八十四番地の居宅において加藤文治から盜賍品たるの情を知りながら再生タイヤー四本を代金三万円にて買受けたとの事実を認定したものであるがその挙示の証拠によればその判示事実を認められないことはない。而して被告人の司法警察員及び檢事に対する供述が何れも留勾中になされたものであることは明かであるが勾留中の供述なるが故にその任意性を当然否定せねばならぬという訳のものでないのみならずその供述内容においてもその任意性を疑わしめるような点は存しない又原審公判廷における被告人の供述がその任意に出たものであることは勿論であろうが右司法警察員及び檢事に対する供述と対照して必ずしもより眞実性があるとも思われないし論旨指摘の証言並びにその余の事情を考量するも未だ原審認定を左右し得るものとは認められない從つて原審に事実の誤認ありとする論旨は採用し難い。

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